不登校経験者のおぼえがき

不登校経験者のNPOスタッフが不登校についていろいろ書くブログ

びわ湖放送の健康番組で不登校が病気扱いされていた件

この番組のことを教えてくださったのは、いつもお世話になっている保護者の方。僕は滋賀のNPO不登校や自分に自信が持てない子どもたちと関わっているので、おひざ元のびわ湖放送滋賀県の提供で(ここ重要)どんな不登校特集を組んだのか、すごく興味がありました。

ただ、僕は住まいが京都なのでびわ湖放送が入らず、しかも放送時間中は仕事で大阪にいたため結局見れず。もはや視聴を諦めていたのですが、なんとびわ湖放送YouTube公式チャンネルにアップされているのを発見。早速5,6回ほどリピートしつつ観ました。

で、僕が得た結論。
 

「お医者さん目線から話されると、そりゃそうなるか・・・。」

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番組のバックナンバー見てたら乳がんの知識だとか、そもそもが滋賀県民の健康を守ろう!というコンセプトなので、不登校に関しても解説してるのはお医者さん(精神科医)なんですよね。なので例えば学校の先生とか、スクールソーシャルワーカーとか、そういう方の声が一切ない。

だから、今回の番組のサブタイトルにも『不登校は治る「病態」である』という、明らかにお医者さん目線であることがうかがえるものがつけられている、というわけです。そりゃ確かにお医者さんからすれば治すものなのかもしれません。僕はそこに大きな違和感を抱きました。

実際、僕の周辺の当事者の方々が眉をひそめたのがその「不登校は治る」という文言。

もともと放送前からこのサブタイトルに違和感を覚える人が多かったのですが、不登校の親御さん向けのFacebookグループで動画をシェアしたところ、案の定この内容ってどうなの???というコメントが止まらなくなってしまいました。

一応言っておくと、そうだその通りだ、と思う内容もありました。

とくに、不登校に対する親や周囲への理解や認識不足というのは、不登校の子を持つ親御さんとお話ししていてもよく聞く話です。下手すれば学校関係者ですら不登校に対して誤った認識を持っていることもあります。

しかしながら、「うつ病双極性障害など、なんらかの病気を持っていた」「だから不登校は治せる」(ついでに人間関係のこじれも治せる)というのは、全部が全部そうじゃないだろう、と思います。

たとえば、今も関わっている高校生の生徒は、中学時代に目標を見失い不登校状態にありました。生活リズムもぐちゃぐちゃで朝に寝て昼に起きる日々。そこでまずは、生活リズムを立て直して朝起きることを念頭に生徒と関わりました。

その結果、リズムを立て直すことに成功すると見失っていた目標も新しく見つけ、あれよあれよという間に生徒は学級復帰することができました。今も毎日学校に通っていますが、ここにお医者さんの介入は一切ありません。

番組の後半、夜眠れない・朝起きれない症状が取り上げられていますが、他の子どもたちが学校にいる日中は無気力で、逆に学校から帰宅する夕方や夜になると元気を取り戻すというのは不登校の子どもたちにとってよくあることなので、それをすべて「うつ病」と片付けるのは些か暴論な気がします*1

また、どんな重い症状でも適切な治療を受ければ8カ月以内に70%の子どもたちが不登校から離れられる、というデータも紹介されていましたが、この子どもたちが果たしてその後学級でちゃんと馴染めているのか、結局無理して通っていたり再び不登校になっているのでは?というのも、疑問です。

不登校は100人いれば100通りの要因があります。しかもどれも単純なものではありません。ちなみに僕は人間関係がうまくいってなかったですし、先生の厳しい目、教室のあの独特の雰囲気がダメでした。これも果たして「病気」なのでしょうか・・・?

やはり、お医者さん目線「だけ」しか語られていない、偏った情報で不登校を解説するのはあまりにも危険じゃないか、というのが総じての僕の意見です。ぜひ、この番組を見た他の不登校経験者、当事者の皆さんの意見も聞きたいな、と思います。

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*1:一応心理学部を卒業してるので、うつ病ってこんな簡単な基準だっけ?という疑問も