不登校経験者のおぼえがき

不登校経験者のNPOスタッフが不登校についていろいろ書くブログ

不登校は対岸の火事ではない

不登校の子を持つ親御さんの輪に入ると、よく周囲からの冷たい目線が気になるという話が出ます。

平日の昼間だけど、君、学校はどうした?
なんで学校行かないの?

ぶっきらぼうに聞いてくる人の中には、「学校行かないと義務教育に反するから、お父さんお母さんが逮捕されちゃうよ」などと誤った認識を持ち出してまで、学校に行かない子どもたちを冷たくあしらいます。「不登校はいけないことだ」「どんな子どもでも学校に行くのが当然」という考え方でしょう。

しかし、不登校は「対岸の火事」ではありません。

f:id:superexp221:20170129031957j:plain

いま、日本には1000万人ほどの小中学生がいます。極端なことを言えば、この1000万人ほどの小中学生全員に、明日突然学校に行きたくないと言い出すリスクが潜んでいると考えています。

学校楽しい?と聞けば「楽しい!」と返事してくれるかもしれません。もちろん本当に楽しい場合もあります。しかし、本当は楽しくないのに周りに心配されたくないから「楽しい!」とうそをついていることもあります。子どもは、心配をかけたくない相手ほど努めて明るく振る舞っています。

これを読んでいるみなさんの身の回りの子どもがいくら学校を楽しんでいたとしても、ある朝突然「学校に行きたくない」と言い出してもおかしくはありません。というか、そもそも楽しそうにしているのも、実は「本当は学校に行きたくないけど、心配をかけたくないから」無理をして楽しそうにしているのかもしれません。

考えてみれば、僕も不登校になった当初、どんな近しい親戚からの電話であっても「ちゃんと元気でやってるよ」と言っていました。いや、厳密には言わされていました。とにかく、家族の間では僕が不登校である事実はひた隠しにしなきゃいけない、という空気がありました。

それは家族が社会からの目に異様に怯えていた、と言っても過言ではない状況でした。後年、その近しい親戚に本当は学校に行ってないことを打ち明けると、「なんだそれなら最初からそう言ってくれりゃよかったのに」とあっさり受け入れてくれたことは今でも忘れられません。

もしも本当に学校が楽しい場所だとしても、ちょっとした行動、クラスメイトや教師との関わりひとつで急に学校に行けなくなることは、十分考えられます。そこで、学校が楽しくないと正直に打ち明けてもなお「いいから学校に行きなさい」と強制すると、子どもたちは必ず深い傷を心のどこかに背負うことになります。

うちの子は学校が楽しい!と言ってるから大丈夫。っていうか、なんであの子学校に行かないの?なんて思っているそこのあなた。

あなたが関わる子どもが100%不登校にならないというその自信は、どこから出てきたものですか??

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ