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不登校経験者のおぼえがき

不登校経験者のNPOスタッフが不登校についていろいろ書くブログ

不登校に大切な「ナナメの関係」

スタッフをしているNPOで、中学生といっしょにごはんを食べる事業をしています。

そこでは好きな食べ物だとか、学校で流行っていることとか、とにかく夕食を囲みながらいろんなコミュニケーションをとるのですが、回を重ねていくうちに中学生自身もこの場所を毎週楽しみにしてくれているようで、最近では誰かが休むことを知ると「なんでおらんの!?」と中学生がガッカリすることもしばしば。

僕としてもいきなり名前を呼ばれて「こないだむかついたんやけどさー!」と中学生の愚痴を聞いたり、来週は別の仕事で来れないかもしれない、と知らせると「そんなんアカンで!!」などと言われたりして、こういう友達でも先生でもないつながりが心地良くて毎回楽しみな時間でもあります。

この事業は不登校の中学生向けにやっているものではないのですが、先述した「友達でも先生でもないつながり」は、実は不登校の子どもたちにとってものすごく重要なものです。

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話は変わって、先日こんなワークショップで講師を務めてきました。

要するにカツオやワカメ、タラちゃんから見るサザエさん一家(磯野家)を解説して、ついでにちびまる子ちゃんのさくら家における友蔵の重要さも紐解くと、磯野家が理想の家族と言われるのは「ナナメの関係」になり得る人物がカギを握っている、という話です。

で、この「ナナメの関係」が、冒頭に書いた「友達でも先生でもないつながり」にあたります。

「ナナメの関係」と対比するように、親子や上司と部下など、上下の関係のことを「タテの関係」、友達や恋人などフラットな関係を「ヨコの関係」と呼びます。例えばカツオなら波平やフネはタテの関係。中島くんや花沢さんはヨコの関係です。

それに対し、子どもから見て、上下でもフラットでもないその中間的関係にあたるのが「ナナメの関係」です。カツオから見るとマスオやノリスケがこの関係にあたります。

マスオやノリスケは、カツオに対して何かを指導したり叱ったりする上下の関係でもないし、かといって友達同士のような関係でもない。人生の先輩として時にアドバイスしながら、暖かく見守り接する役割です。ちなみにタラちゃん目線だと祖父母の波平とフネ、叔父母のカツオとワカメが「ナナメの関係」になるわけです。

このようにちょっと年の離れた親戚はもちろん、不登校の子どもたちにとってはフリースクールや学校外の学び場、居場所で出会うボランティアのお兄さんお姉さんが「ナナメの関係」。冒頭に書いた事業で言えば、僕と参加してくれる中学生もまさしく「ナナメの関係」が成立しています。

学校がしんどい気持ち、家でも息苦しい気持ちは、まず学校が信頼できない不登校の子どもたちにとっては学校の誰かに話す、なんて選択肢はあり得ません。しかし家で両親に打ち明けるのも、ものすごく勇気が必要。そこで「ナナメの関係」の出番がやってきます。

サザエさんを観ていると、カツオが良くノリスケにサザエの愚痴をこぼしたりするシーンが見受けられます。この関係が、不登校の子どもたちに必要不可欠なのです。

フリースクールだったり、不登校の子どもたちの居場所が成立するのはまさしく「ナナメの関係」があってこそ。ここにいる大人は、明確な上下関係で成り立った関係ではありません。それは、「先生」ではなく子どもが大人を「(苗字)さん」だったり、あるときはあだ名で呼ぶ関係性に表れています*1

上から接しない大人が子どもの今の状態をあるがままに受け入れ、暖かく接し見守ることで、子どもたちにも「学校が嫌いな自分で大丈夫なんだ」、と自分を取り戻すきっかけが生まれます。「学校が嫌い」なことで社会から拒絶され続けた子どもたちにとって、こんな場所はまさに天国そのもの。

僕自身も不登校の当事者だったとき、参加していた居場所事業で大学生のお兄さんお姉さんと遊ぶ時間がすごく楽しかったのを思い出します。あのとき散々「ナナメの関係」に救われ、お世話になったからこそ、今の子どもたちの「ナナメの関係」を目指す自分がいるのかなぁ、なんて時々思います。

ぜひ、不登校の子どもたちには、友達でも先生でもない「ナナメの関係」で暖かく接してくれるちょっと年上の人たちとたくさん出会ってほしいな、と思います。

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*1:もちろん、場所によっては「先生」と呼ばせるフリースクールも中にはあると思いますが